ビジネス書の根底に流れている思想【5つ】
2020年7月18日(土)
テーマ:日常の雑感、発見、出来事, 経営について
ビジネス書。
多い少ないはあるでしょうが、読んだことはある方がほとんどかと
ビジネス書とはビジネスに関連した本を指します。
経営、マーケティング、経済、自己啓発など、ジャンルは多岐に渡
最近ビジネス書そのものについて考える機会があり、気づくことが
今回はその気付きについて書いてみたいと思います。
題して「ビジネス書の根底に流れている思想【5つ】」。
一応、ビジネス書と25年くらい付き合っている者のいち意見とし
ビジネス書で言っていること、言い換えると
底辺に流れる思想はこれら【5つ】ではないか?と思うんです。
つまり
1.とにかく、やれ
2.知恵を獲得しろ
3.あれこれ考えるな、習慣にしろ
4.本質を見抜け
5.「いま」にフォーカスしろ
この5つです。
本によって言っていることは様々。
テーマも様々です。
でも伝えたいことは上の5つのいずれかに当てはまるのではないか
少なくて1つ、多くて5つすべてが当てはまる本もあります。
◆1.とにかく、やれ
あれこれ考えなくていい、とりあえず始めろ、ということですね。
でも…とか、だって…とか、あれをやってから…とかじゃない。
まず始めてみなさい、と。
仏教用語に「知覚動考」というものがあります。
「知って、覚えたら、動きながら、考える」という意味合いですね
考えるなら動きながらでいいよ、と。
ちなみに、心理学でも似た用語があります。
「ベイビーステップ」。
完璧じゃなくてもいいので、まず始めることで結果的に継続しやす
やろうとする気持ちは、気持ちから始まるのではなく、行動から始
あれこれ考えなくていい、とりあえず始めろ。
これが根底に流れていると思います。
◆2.知恵を獲得しろ
知識、情報ではなく、知恵を獲得しなさい、と言っているように思
知恵とは「物事の道理を判断し処理していく心の働き。物事の筋道
知識、情報はその多くが手段や手法に関してであって、道理や物事
「知恵を獲得しなさい」とは、知識、情報にフォーカスし手段や手
港町で食べ物に困っている人に、魚をあげるのではなく、魚の捕り
この考えを少し堀り進めると、魚を捕る時に、知恵に近い「姿勢・
どうしてその釣り方になったのか、もっと根底にある命をいただく
これに近いのかもしれませんね。
◆3.あれこれ考えるな、習慣にしろ
とにかくやれ、に似ていますが「習慣」に焦点が当たった表現にな
物事はモチベーションで続けるものではない、という現実が根底に
モチベーション(大枠の意味で「やる気」)は、無くなればそれま
鉄は熱いうちに打て、ということわざもありますよね。
一方、習慣というのは、そら恐ろしいくらいに強固で、継続性があ
人生のほとんどは習慣化された行動で構成されている、と言っても
習慣はモチベーションとは関係ないところで機能し続ける。
習慣はその多くで苦労を感じない。「よっこいしょ!」と、あえて
これを利用しない手はない、というのが、ビジネス書で、暗に明に
昔から、よく理由は分からないけども繰り返していること、ありま
そして、その習慣の積み重ねがあなたを作り上げていると思います
私にもたくさんあります。
習慣にするための手段や方法を考えることは必要かもしれませんが
あれこれ考えるのではなく、良いことと思ったものは習慣化してし
習慣と似た考え方に「仕組み」があります。
経営に特化したビジネス書では「仕組み化しなさい」という考えが
◆4.本質を見抜け
世の中に流れる情報には、そのほとんどにおいて方向性が決まって
ベクトル、またはバイアスとも言いかえることができます。
テレビが顕著かと思います。視聴者が受け取る印象と、行動の結果
新聞も似ていますね。テレビの視聴率は、新聞では購読者数や、継
人は「揺さぶられる」感情に弱いと言われます。
恐れ、怒り、そして感動。(驚き、というのもありますが稀だと思
基本的には、この3つ(=恐れ、怒り、感動)が使われますね。
あと、人間の三大欲求も視聴や購読の拡大に使われます。(睡眠欲
メディア全体にいろんな目的もあって、それはイデオロギーや販売
世の情報のほとんどは、一定のバイアスがかかっている、と見て良
個人的に面倒なのはイデオロギーですね。
テレビ局、新聞それぞれに右系、左系の思想があり、1つの媒体を
ビジネス書においては「販売数」が最も大きい要素になりますね。
売れるであろう本しか出版されないのが通常です。
(いわずもがな、売れない本ばかり出すと出版社は倒産してしまう
だからこそ、本質は重要。(ビジネス書に限らず全般的に)
・悪い印象を与えたい対象について、良くない表情を紙面や画面の
・インタビューのいち部分だけを切り取って報道する。
・スポンサーにとって都合の悪い情報は隠す。
・統計資料の都合のいい部分だけ抜き取って、主張に使う。
・読者が新鮮に思ってくれるだけの手法や論旨に都合の良い資料を
・視聴者、読者に一定のイデオロギーを持ってもらいたいための放
などなど。本質を見抜くのを妨げる例を挙げればキリがありません
最近ちょうど「あ~これか~」と思った例がありました。
年金積立金を運用するGRIFで、2019年度に最終的に8兆円
これを聞いた人は、「何やってるんだ!将来どうするんだ!」と思
これはまさに上で出てきた「恐れ+怒り」を使った報道になると思
一次情報(ここでは統計情報)を見れば、ここ20年間に積み上が
そもそもですが、年金は現役世代が納めた分がそのまま受給者にい
年金支給に占めるGRIP運用分からの支出は3%~4%程度です
年金支給において、保険料と税金が95%以上を占めています。
あれ?と疑問に思いませんか。
「年金積立金を運用するGRIFで2019年度8兆円強の損失を
怒り、恐れを感じる。
感情が揺さぶられる種類のネタを、効果的に放送、掲載している、
そのほうが視聴率や購読率につながりますし、番組、記事的に「ら
これは批判ではなく、やむをえずそうなってしまう構造的な問題だ
だからこそ、本質を見抜く必要があり、そのためには、技量、能力
良質に見える情報であっても、バイアスのかかった情報を鵜呑みに
例えば、自分の価値観や考え方、選択にとって大事な情報について
ビジネス書ではその多くで「本質を見抜きなさい」という思想が根
個人的には、商業出版5冊目あたりの著者さんの論旨は心地よいで
バイアスかけないし、肩に力も入っていない。
読者としては、バイアスを疑わなくてもスムーズに読むことができ
◆5.「いま」にフォーカスしろ
ビジネス書の多くで【いまにフォーカスしろ】という趣旨の内容が
過去でも未来でもない、いまを見なさい、と。
過去は変えることができませんし、未来は未確定なことが多く、不
もう少し掘り下げるなら、過去のことを後悔まじりに悩んだり、未
情報と知恵を獲得した上で【対策しておこう】ということかと思い
過去の振り返りは、PDCA(計画・実行・評価・改善)の「評価
アドラー心理学で有名な岸見一郎さんは次のことを言っています。
「どうすれば人は幸せになれるか」
→「今ここを生きることである」
過去や未来を手放し、今日という日を精いっぱい生きましょう、と
なるほど。そうだよなぁと思います。
以上、つらつらと書いてしまいました。
ビジネス書の根底に流れている思想【5つ】でした。
私よりもたくさん読んでいる人はいらっしゃることをわかった上で
投稿者:崎田 和伸