顧客のミカタであること。【お仕事に対する考え方】
2017年2月25日(土)
テーマ:お仕事に対する考え方
よく、建設業許可、古物営業許可、酒類販売免許などの、いわゆる「許認可申請」のご依頼をいただきます。
この許認可という分野の特徴は何より、「法令で定められたこと以外のグレーな部分が多い」というのが挙げられます。
許認可を下ろすかどうかの肝の基準は法令で決まっていますが、「審査上の事務的な部分、あるいは審査上の要請」といった部分では、他の法的手続に比べ、裁量権があります。
=他の手続に比べ、官公庁側からの要求、要請が来やすい。法令で必須とされる資料を揃えた場合でも。
わたし、こんな許認可分野について、昔から思っていることがあります。
それは、顧客のミカタとなること。
許認可分野において、行政書士は3種類に分かれると思います。
1.官公庁とガチンコで闘う行政書士。
いつも臨戦態勢。顧客のためならどんな闘いも厭(いと)いません。官公庁との軋轢(あつれき)どんと来い!系です。
2.官公庁の言い分をそのまま顧客に伝える、役所のスピーカーのような行政書士。
役所から言われたことが理不尽でも、法律に抵触していそうでも、顧客にそのまま伝え、顧客を説得しようとします。
3.官公庁と関係を築きつつ、実は闘っている行政書士。
官公庁と良い関係を築きながら、グレー部分について、法や前例に基づいて主張してゆくタイプ。
あなたが依頼するなら、この3人の行政書士のどれにしますか?
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行政書士の使命は・・・
「国民と行政との絆として、国民の生活向上と社会の繁栄進歩に貢献すること」
です。
出典:日本行政書士会連合会:https://www.gyosei.or.jp/information/introduction/mission.html
この「国民と行政の絆」がポイントですね。
絆、と書いていますが、わたしは「国民と行政との間をつなぎ、国民に説明し、行政を牽制する」という風に理解しています。
中国を見てもらえると理解いただきやすいと思いますが、行政は情実化しやすいです。
情実化とはつまり、口利き、賄賂(わいろ)が横行しやすいということ。
日本に住んでいると、まさかと思うかもしれませんね。
わたしも中国には住んだことはありませんが、漏れ来るニュースを見るかぎり、その傾向は顕著と断言しても良いと思います。
天津大爆発を憶えておられますか?
あれは色んな原因の説が出ていますが、わたしはこう思っています。
「危険物質を一定量以上集積してはならない場所に、経済発展と情実のために許可を出し続け、野ざらしになっても指導すらすることがない状態だった」から。
また、天津大爆発以外で聞くのは、「許認可権限を持つ共産党上層部は、権限と比例して財産が増えてゆく」ということ。
日本では考えられませんね。現時点では。
長くなるので強引にまとめます(^_^;)
行政書士は、行政を牽制する役目を負っていると、わたしは思っています。
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話を戻します。
あなたが依頼するなら、この3人の行政書士のどれにしますか?
1,官公庁とガチンコで闘う行政書士。
2.官公庁の言い分をそのまま顧客に伝える、役所のスピーカーのような行政書士。
3.官公庁と関係を築きつつ、実は闘っている行政書士。
2は顧客から信頼を失う行政書士です。行政書士の使命からして、危険な存在ともいえます。
官公庁の言い分ばかりが通り、牽制の役目を果たしません。極端にいえば、官公庁窓口担当者の人格やその日の気分で許可不許可が決まってしまう。(実際には、許可申請を受理してもらうか受理されないか、です)
危険ともいえようかと思います。
では残りの1と3、どちらの行政書士に依頼しますか?
わたしは開業して5年くらいまで、1の「官公庁とガチンコで闘う行政書士」がいいと思っていましたし、実際、やっていました。ガチンコ勝負の姿勢の官公庁窓口担当者(いわゆる名物担当)がいる平気でいる時代でしたし。
でもやっていくうちに思ったんです。
ガチンコは最終的によくない、と。
最終的に顧客のためにならない、と。
その依頼については良いかもしれませんが、次のその方の依頼には支障が出ます。
行政書士(わたし)も、窓口担当者も、最初から勝負腰。
自然と細かい、細かい点の突き合いになり、うまくいくものもうまくいきません。
終始、重箱の隅のつつきあい(-_-;)
理論武装しているように見えて、その実は甘々(あまあま)。
子供のケンカです。
いろいろするうちに、開業後6年くらいから
「3.官公庁と関係を築きつつ、実は闘っている行政書士。」となりました。
ケンカ腰ではない。でも出る時は出る。引く時は引く。
出る時(=主張する時)は、理論武装をし、きちんと法律の解釈をしたうえで、撃って出る。
でも相手方(官公庁側)の要請が、法律の趣旨に基づく正当なものと思われれば、引く。
こういったやりとりをするようになりました。
真っ赤な炎ではなくて、青白い炎。
こういったらイメージいただきやすいでしょうか。
あ、ガスコンロの炎ですね!
あれから(=~開業5年くらい)12年くらい経ちました。
いま、わたし自身は実務担当ではありませんが、弊社の根底には、「3.官公庁と関係を築きつつ、実は闘っている行政書士。」が根付いていると思っています。
日々、関係と信頼を築きながら、それでも闘っていますよ。
ということで、また長くなりそうなので、強引にまとめます(^_^;)
顧客のミカタとなること。
これを行政書士法人代表者として、胸に刻んでおります。
投稿者:崎田 和伸