【過去コラム紹介】多くの起業家が陥る、悪い顧客に時間を使うスパイラル
2016年1月22日(金)
テーマ:経営について
行政書士法人 Asumia(読み方:あすみあ)は・・・
起業したい、起業して地道にがんばっているあなたのサポートに特化した事務所です。
広島県を中心に中国地方五県対応。
10年後もその先も、生き残り、安定・発展いただくためのお手伝いをしています。
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その中で、コラムを書いているのですが、今日は、過去コラムのうち、反響の多かった記事を1つ、ご紹介させてください。
タイトルは
「多くの起業家が陥る、悪い顧客に時間を使うスパイラル」です。
かなり長文です。覚悟してお読み進めください(^_^;)
=== コラム はじめ ===
「多くの起業家が陥る、悪い顧客に時間を使うスパイラル」
すでに事業している方でも知っている人は少ない。
(意識している人が少ない)
これから起業する方では、もっと、知る人が少ない。
「頭では分かっていても、たとえ分かったとしても、悪いスパイラルにハマってしまう」。
これが、
「悪い顧客に時間を使うスパイラル」。
~~~
いや~、恐い。
わたしもやってしまった。
今は少なくなりましたが、やってしまうことがあります。
簡単にやめられない。
分かっていてもやめられない。
ただ、前置きしておきます。
わたし、弊社が悪い顧客となる場合もあります。
わたし、弊社が、本当に悪いときもあります。
色んな負い目は承知のうえで、この文章、書いておりますm(__)m
それから、この文章は、わたしの価値観であり、経営観です。
色んな人の色んな考え方があるはずです。
正反対の人もいるでしょう。
昔、面と向かって「あなたは間違っている!」
と言われたことがあります。
そうです。間違っているかもしれません。
でもね、わたし、思ってしまうんです。
こんな生意気なアラフォーですが、
よろしくご理解のほど、お願い申し上げます。
~~~
さて、はっきり言いますね。
世の中には、良い顧客と悪い顧客が存在します。
どちらも要素は漠然としていて、はっきりと分類できないものです。
でも、いくつか挙げてみます。
良い顧客・・・
・商品、サービスの対価に、それだけの価値を認めてくれる。
・商品提供、サービス提供のために必要な「何か」をお願いすると
滞りなく、すぐやってもらえる。
・商品代、サービス代の支払いがきちんとしている。
・クレーマーではない。
悪い顧客・・・
・商品、サービスの対価に価値を認めていない。
・商品提供、サービス提供のために必要な「何か」をお願いしても
滞ってしまい、なかなかやってくれない。
・商品代、サービス代の支払いについて、催促しないと払って
もらえない。非常に遅い。
・結構な割合で、クレーマーになる。
良い顧客は、商品提供、サービス提供のために最低限必要な時間で、終わる。
悪い顧客は、商品提供、サービス提供のために必要な時間を「超える」時間がかかる。
~~~
わたし、ずっと思っています。
良い顧客に時間がかからず、
悪い顧客に時間がかかるのは、不平等であり、不合理だ。
誠実にきちんと対応してくれて、対価も支払ってくれる人と、そうでない人。
この両方ともに、実は「対価」は違いません。多くの場合。
多くの場合…というのも、上の「そうでない人」に、そうでないだけの
(イレギュラー対応した)対価を請求できないものなのです。
だから、
良い顧客に時間がかからず、
悪い顧客に時間がかかるのは、不平等であり、不合理なのです。
~~~
事業をしている人、これから起業する人(以下「起業家」と総じて言いますね)
にとって、最も大切なものは何だと思いますか?
お金、家族、会社、スタッフ・・・いろいろあると思いますが、
根底にある最も大切なこと。
それは・・・「時間」だと思います。
時間はすべての源泉。
産み出す、改善する、立ち止まる、考える、再起動する。
すべては時間があってのもの。
わたしは、時間に余裕がなければ、余白を持たせることができなければ、
何らかの悪いスパイラルに陥る可能性が高まると思います。
起業家の時間あたりの単価は、決まっていません。
起業家の時間あたりの単価は上下します。
自分の時間あたりの単価を、どこまで上げることができるか?
対価を得るための時間の品質をいかに高めることができるか。
事業の成否は、これにかかっていると思います。
それだけに、「時間」について、大切に扱わなければならない。
忙しくしているようで、時間あたりの単価が下がっていれば、失敗。
忙しくないけども、時間あたりの単価が上がれば、成功。
そんな世界だと感じます。
「赤ひげ先生」という言葉がありますね。
清貧を旨とし、お金のない、困った人を、どんな状況、とんな時でも救うよう努力し、
貧しくも清らかな生活をする。
いつも働き、忙しく過ごす。
このような生活を否定はしません。
それぞれの人生、それぞれの目的があって良いと思います。
一般的なビジネスから見てイレギュラーである「貧しい人のよろず事の応対」
も、それが「レギュラー」になれば、してしまえば、その人にとっては普通なのです。
ただ大多数の起業家は、そうではないはず。
そんな前提で、書いております。
~~~
話を少し、戻しますね。
わたし、ずっと思っています。
良い顧客に時間がかからず、
悪い顧客に時間がかかるのは、不平等であり、不合理だ。
良い顧客は、起業家の時間あたりの単価を上げてくれる存在。
悪い顧客は、起業家の時間あたりの単価を下げる存在。
良い顧客が大切だと思いませんか?
~~~
売上の8割は、2割の顧客から産み出される。
時折、耳にする文章ですね。
イタリアの経済学者であるパレートという人の・・・
「経済において、全体の数値の大部分は、全体を構成するうちの
一部の要素が生み出している」という説から導き出された経験則です。
起業家の場合、売上の8割は、2割の顧客から頂戴している。
業種、業態によって大きく違うケースがありますが、多くの場合は、です。
わたしは思います。
良い顧客には、起業家は、時間を使うべきです。
良い顧客は、あなたのファンになることが多い。
良い顧客を大切にし、ファンにすることで、事業体を安定させ、発展させる。
これが大切なんじゃないかと思うのです。
~~~
でも、実際は、悪い顧客を大切にしてしまう。
あなたが「真面目であればあるほど悪い顧客を大切に」してしまいます。
例えば、
ある義務があって、やらねばならない。
あなたは、その義務を果たすために、一生懸命やる。
でも、その義務を果たしても、成果は上がらない。
自分の時間あたりの単価は上がるどころか、下がってしまう。
時間はどんどん削られる。
その義務を果たすべきものなのか、義務が発生しないで済む方法が
なかったのか、考える暇(いとま)は無い。
多忙は、考える思考回路さえ、硬直してしまう。
~~~
こうなると、良い顧客と出会い、又は関係を深める時間はありません。
類は友を呼ぶ。
これも時折、耳にする言葉ですね。
悪い顧客ほど、悪い顧客を紹介する傾向があります。
「あそこ、安いから、いいぞ、紹介するよ」
「なんでも言うこと聞いてくれるから助かるんだ、紹介するよ」
※こんな直接的な言い方はしないかもしれませんが。
そして、起業家の顧客は悪い顧客で埋まってゆき、一定の売上を
あげるために、多くの時間を浪費することになる。
事業全体が悪いスパイラルに入ってゆく・・・。
~~~
これ、ほんとに、多くの起業家が陥ります。
わたしもそうでした。
顧客に責任を負わせることは絶対にしてはいけません。
すべては、自己責任。
時間への考え方、顧客についての考え方、ひいては事業に対する考え方、すべてが甘かった。
ブランディングにも失敗した。
財政的にも余裕がなかったので、パクっと食いついてしまった。
途中で改善する努力を怠ってしまった。
~~~
「悪い顧客」というと、自らの責任を省みることなく「決めつけた感」が強いと捉える方
もおられると思います。
わたし、この原稿を書く前まで迷っていました。
しかし、経営にはある種の「わかりやすいイメージ」が必要だと思います。
そうでないと、日々の喧噪の中、思い出すことができない。
実行することができない。
このニュースレターでは、あえて「良い悪い」という対照的な表現を使わせて頂いています。
ご気分を害した方は、以下、読み飛ばしてください。誠に心苦しいです。
~~~
次は、陥(おちい)りやすい業種について触れさせてもらいますね。
「悪い顧客に時間を使うスパイラル」に陥りやすい業種は・・・
『サービス業』。
中でも、広告、ウェブ制作、コンサルタント、士業、修理業、便利屋さんetc・・・。
ほんと多い。
あくまでも「陥りやすい」業種です。
サービス業にかぎらず、建設、飲食、販売、卸売・・・
すべて、当てはまるとは思います。
~~~
わたしが「断ち切るための正解」を、現時点、
「完全に」持ち合わせているわけではありません。
でも、いくつかは、そうじゃないかな・・・というものはあります。
書かせてもらいますね。
↓↓↓
(1)断る勇気を持つ。
(2)融資を受けてでも、断る勇気を持つ根拠となる、キャッシュ(現金)を持つ。
(3)発生しそうな義務、発生してしまった「義務を検証」する。
↑↑↑
(1)断る勇気を持つ について。
まずは、あなたにとって悪い顧客であれば、断る勇気を持つ。
断らず、商品・サービス提供することによって、
良い顧客と巡りあうチャンスは遠のいてゆきます。
あなたの価値観で、「断るのはちょっと・・・」と思うのであれば、
その価値観そのものを疑ってみる。
そんなときに有効なのが、「経営理念」です。
あなたがお手伝いしたい人、サポートしたい人、商品提供したい人
が凝縮されて表現されるのが経営理念。
お作りになることをお勧めします。
弊社のことが正解ではないと思いますが、あえて例示させていただきます。
2年近く考えて、社内でも話し合って決めました。
弊社の経営理念は、「嬉しいを紡ぐ(つむぐ)」。
http://e-jimusho.com/rinen.html
横柄の極みかもしれないのですが、まず弊社がサポートさせてもらって、
弊社自身が「嬉しい」とイメージできない人のサポートは、しない。
「嬉しい」と思う価値観をお持ちの依頼人さまのサポートをする。
もちろんこのための、弊社の努力が在り続けることが必要であり、前提です。
なお、どうでもいいことかもしれませんが、
弊社は行政書士法という法律に基づいてお仕事しています。
原則、依頼を断ることはできません。あくまでも姿勢、として認識下さい。
ただ不思議です。経営理念を決めて、日々活動していますと
お断りするケースって、ほとんどないのです。
経営理念って、不思議ですね。
ウェブサイトの1つ1つの文章を決めるときの基準になりますし、
役職員の行動をなんとなくでも決める価値基準の1つになります。
次は2つ目です。
~~~
(2)融資を受けてでも、断る勇気を持つ根拠となる、キャッシュ(預金、現金)を持つ。
これ、起業家にとって、極めて大切です。
悪い顧客を断る勇気は、実際、裏付けがないとできません。
できますか?
わたしには無理だった・・・。
その裏付けとはなにか?
それは「お金」です。
返済しなきゃならないお金でもいいんです。
無いよりはマシ。
極端な例ですが、
預金通帳の残高が10万円(融資なし)のときと
残高が300万円(融資290万円)のとき。
わたしは明らかに「300万円のとき」のほうが断ることができます。
あなたはいかがですか?
この差、大きいですよ。
すべての活動に関わってきます。
キャッシュの余裕は良いスパイラルを生む、大きな要素だとわたしは思っています。
もちろん、何でもかんでも融資受けさえすればオーケーというわけじゃありません。
自己資金を貯めて、自己資金でできるようになるのが一番!
わたしの場合、突然開業、かつ経営下手だったので無理でした。
ちなみに今も、融資残高、残っていますよ。
あ~ゼロにしたい。しばらくは無理かな~(-_-;)
(頑張るぞ!)
関連したことを、コラムを書かせてもらったことがありますので、
ご興味ありましたら、こちらをご覧ください。
http://e-jimusho.com/column0001.html
さて、最後、3つ目です。
~~~
(3)発生しそうな義務、発生してしまった「義務を検証」する。
ビジネスをしていますと、日々「義務」が発生します。
「タスク」と言い換えてもいいかと思います。
“★★、調べてみてもらえないかな~”
→はい、かしこまりました!”
=受注できることを「期待」して、無料で調べる。
“よろしければ▲▲させてもらいますね”
=よかれと思って、今後の取引を「期待」して、無料で▲▲する。
何が申し上げたいかといいますと、
この「無料」「期待」が問題(^_^;)
人間、多くは、他人に「よく思われたい」と考えます。
そして、将来に渡ることについて「期待」します。
結果「無料」で対応することになります。
おまけ、というケースもありますね。
(2)のキャッシュを持つ、にもつながることですが、キャッシュが
少なければ少ないほど、期待は高まります。
キャッシュの残高と、キャッシュを得るための期待値は見事に反比例する。
期待のために無料で動くケースが増えてしまう。
これが、起業家の時間あたりの単価を下げる大きな要因となると思います。
約束したことは、ほとんどの場合「義務」となりますね。
実行しなければ、どんどん、自分の立場は弱くなってゆきます。
わたしは思うんです。
約束しそうになったその瞬間・・・
「わたしは何に期待しているんだ!?」
「このことに時間を使ったとして、犠牲とするものは何だ!?」
これを考えること。
大切なんじゃないかと。
その「義務」は、果たして必要なのだろうか?と考えてみること。
そして、約束してしまって実行したことについても「検証」すること。
義務を果たすと、その分、何らかの時間を犠牲にしますから、それを取り戻すために
行動することになります。また時間が減る。余裕もない。
考えることをしなくなってしまいます。
悪いスパイラルの始まりであり、途中です。
義務を「考え」「検証」し、「無料」での行動をいかに減らしてゆくか。
わたしは、その「期待を源泉とした無料での奉仕」で使う時間を
「ぼ~っと海辺に座り、将来の事業展開について考える」ことに充てるほうが
100倍マシなんじゃないかと思います。
~~~
『 多くの起業家が陥る、悪い顧客に時間を使うスパイラル 』
いかがでしたでしょうか。生意気でしたか・・・(-_-;)
言葉が悪いでしょうかね、良い顧客と悪い顧客って。
あなたに向いている顧客と、あなたに向いていない顧客、のほうが柔らかいでしょうかね・・・。
何はともあれ、こんな風に感じる今日このごろでした。
=== コラム 以上 ===
長文でお疲れになりましたね・・・。
不定期で、こういうコラムを配信しています。年数回、無料です。
よろしければ、どうぞ。
http://e-jimusho.com/newsle.html
今日も、読んでいただいたあなたに感謝します。
投稿者 崎田 和伸でした。